がんの基礎知識

がんのメカニズム

がん細胞は、もともと自分自身の細胞です。細胞は、傷ついたり古くなったりすると自然死し、老廃物として排泄されていくようプログラミングされています。私たちの体では、古い細胞が死に、新しい細胞が生まれるサイクルが常に行われています。

この時、細胞は皮膚なら皮膚、筋肉なら筋肉、骨なら骨という同じ細胞をコピーして作られています。このコピーするもとになる情報が、DNA(デオキシリボ核酸)の中に埋まっていますが、この情報の読み違えが起こり、ミスコピーのように、違った細胞が生まれてしまうことがあります。

60兆個あるといわれる私達の体の細胞の中で、1日1,000から2,000個はミスコピーの細胞ができていると言われています。しかし、ミスコピーされた細胞は、私たちの体を守る免疫システムによって攻撃されるため、通常は体の中にとどまることはありません。

しかし、何らかの要因で免疫ががん細胞をうまく見分けられず、体の中に残ってしまった場合、がん細胞は無限増殖を始めてしまいます。こうして増殖を始めたがん細胞は、大きさにして1cm、重さにして1g、細胞の数にして10億個に達すると、レントゲンやCT、エコーや内視鏡などで「がん」として認識されるようになります。

良性腫瘍と悪性腫瘍の違い

「腫瘍=がん」というイメージを持っている方が多いと思いますが、腫瘍には良性と悪性のものがあり、悪性腫瘍をがんと呼びます。

悪性腫瘍の特徴

  1. 自律性増殖:がん細胞はヒトの正常な新陳代謝の都合を考えず、自律的に勝手に増殖を続け、止まることがない。
  2. 浸潤と転移:周囲にしみ出るように広がる(浸潤)とともに、体のあちこちに飛び火(転移)し、次から次へと新しいがん組織をつくってしまう。
  3. 悪液質(あくえきしつ):がん組織は、他の正常組織が摂取しようとする栄養をどんどん取ってしまい、体が衰弱する。

良性腫瘍の特徴

良性腫瘍は悪性腫瘍と異なり、体のあちこちに飛び火する転移がありません。がん細胞は無限に増え、やがてリンパ液や血液に乗って体中にちらばりますが、良性腫瘍にはその性質がありません。そのため、たとえ大きくなっても手術で取り除ければ、きれいに無くなります。

がんの初期症状

がんの症状には2つの特徴があります。一つ目はがん組織として腫瘍を形成すること、もう一つはがん組織は血管が多くもろいため、出血しやすいということです。

症状

  1. 腫瘍がしこりとして触れる
    乳がんなど皮下のすぐ下(体の比較的浅い箇所)にできた場合、手で触ってしこりがわかることがあります。周辺の組織と明らかに手触りが異なりますので、自己触診による検診も推奨されています。
    また、甲状腺がんは、前頚部の腫れとして発見され、触診によってがんの可能性を疑う場合があります。
  2. 腫瘍によって閉塞症状が出る
    しこりが管状の臓器にできた場合には、なんらかの閉塞症状が現れます。大腸がんの場合は便の通貨障害で便秘と下痢を繰り返したり、肝臓にできた場合は短銃と呼ばれる消化液の流れが滞り、黄疸が見られることがあります。
  3. がんからの出血
    がん細胞は増殖するために絶えず大量の酸素と栄養素を必要とするため、新生血管と呼ばれる新しい血管を多く作ります。この新生血管は通常の血管と比べて血管壁がもろく、少しの刺激で出血してしまいます。

肺がんでの血痰や大腸がんでの血便、子宮がんによる不正出血など通常ではみられない出血があるのはこのためです。症状が進んだがんになると、出血が持続的に続き貧血によるめまいや動機、息切れなどの症状が出てくることがあります。