造血幹細胞移植

造血幹細胞移植とは

白血病や悪性リンパ腫など自己免疫疾患の患者さんに対して、提供者(ドナー)から造血幹細胞を移植して、自身で正常な血液を作ることができるようにする治療です。

がん造血幹細胞移植治療

がん造血幹細胞移植治療

造血幹細胞移植の種類

1.自家移植
造血幹細胞移植には、正常な造血機能を構築できる造血幹細胞が必要です。この造血幹細胞をどこから得るかによって、造血幹細胞移植を大きく2つに分類します。患者さん自身の造血幹細胞をあらかじめ採取・保存し、それを移植に用いる「自家造血幹細胞移植」と、ドナーの方から提供された造血幹細胞を移植に用いる「同種造血幹細胞移植」です。

自家移植では、あらかじめ患者さんの造血幹細胞を採取、保存しておく必要があります。造血幹細胞の採取は、原則的に患者さんの体内のがん細胞が最も少なく、かつ正常な造血機能が回復している時期に行います。こうした時期でも患者さんの体内には微量のがん細胞が残存していることがあるので、採取した造血幹細胞の中にも混入している可能性は否定できません。

2.同種移植
同種移植は、まず造血幹細胞を提供してくれるドナーの方を探す必要があります。血縁者あるいは非血縁者で、HLAと呼ばれる白血球の血液型が一致、あるいは類似しているドナー候補を検索するか、HLAの条件が合った臍帯血(さいたいけつ)を検索しなければなりません。HLAには非常に多くの型があります。すべての患者さんに対して、移植に適切なHLAを持ったドナーの方がいるわけではありません。HLAが一致したドナー候補が見つかったとしても、ドナーとして適格であるためにはさまざまな条件が必要です。

同種造血幹細胞移植は、幹細胞を提供するドナーによって分類できます。
■HLA適合血縁者ドナーからの同種造血幹細胞移植
白血球の型であるHLAには多くの種類がありますが、造血幹細胞移植ではHLA-A、HLA-B、HLA-DRの3種類が重要です。A、B、DRのそれぞれに2個の型があるので、造血幹細胞移植の患者さんとドナーの方との間では、原則的には6個の型を適合させる必要があります。

HLAは遺伝によってその型が決定されるので、兄弟姉妹の間では1/4の確率でHLAが適合するといわれています。HLAが適合する血縁者ドナーからの同種造血幹細胞移植ではGVHDの発症頻度が低いため、移植関連合併症の発症率も低いことがわかっています。

■HLA適合非血縁者ドナーからの同種造血幹細胞移植
日本骨髄バンクは1991年に設立され、現在約25万人がドナー登録をしています。骨髄バンクを通じた非血縁者間同種骨髄移植は1992年から開始され、現在までに約8,000例の移植が実施されています。

現在では、移植を希望して登録した患者さんの約80%には、HLA-A、B、DRが適合するドナー候補が見つかるといわれています。しかし、実際に非血縁者ドナーから移植を受けることができたのは、登録患者の約1/3程度とされています。

HLA適合非血縁者ドナーからの同種造血幹細胞移植の治療成績は、血縁者ドナーからの移植に匹敵するようになってきました。しかし、血縁者ドナーからの移植に比べてGVHDの発症頻度は若干高く、これが移植成績に影響を及ぼしています。

最近では、HLAを遺伝子のレベルまで詳しく調べる検査方法が発達しています。HLAの型をより細かく適合させることが、GVHDの発症や移植関連合併症の発生率に関係することがわかってきました。今後の技術の進歩によって、HLA適合非血縁者ドナーからの同種造血幹細胞移植の治療成績は、さらに向上すると期待されます。

■HLA不適合血縁者ドナーからの同種造血幹細胞移植
HLAの6個の型がすべて適合する血縁者ドナーが見つからなかったとき、その一部が異なるドナー候補を探すことがあります。6個のHLAのうち5個が適合している血縁者ドナーからの同種造血幹細胞移植の成績は、HLA適合非血縁者ドナーからのものに匹敵すると報告されています

■HLA不適合非血縁者ドナーからの同種造血幹細胞移植
非血縁者ドナーからの移植でも、HLAが不適合の場合はGVHDの発症頻度が上昇し、移植関連の合併症が増加することが知られています。しかし、HLA適合非血縁者ドナーが見つからない場合、6個のHLAのうち5個が適合している非血縁者ドナーからの移植を実施することがあります。

このようなHLA不適合非血縁者間ドナーから同種造血幹細胞移植を実施する際には、免疫抑制剤によってGVHD予防を強化したり、移植関連合併症の発症に対処したりといった工夫が必要です。これらの技術の進歩によって、HLA不適合非血縁者ドナーからの移植は、HLA適合非血縁者ドナーからの移植に近い成績を上げるようになってきています。

3.移植に用いる細胞の種類による分類
■骨髄移植
造血幹細胞は本来骨髄に存在するので、骨髄液を採取して移植することで、造血幹細胞を移植するという方法です。現在、血縁者間移植の約30~40%と、非血縁者間移植で実施されている移植法です。

■末梢血幹細胞移植
骨髄の造血機能が活発になっているときや、G-CSFという白血球を増やす薬を投与した後には、本来骨髄に存在する造血幹細胞が、全身の血液の中に流れ出すことが知られています。このような幹細胞を、末梢血幹細胞と呼びます。

この末梢血幹細胞を採取して移植に用いるのが末梢血幹細胞移植で、現在ほとんどの自家移植と、血縁者間移植の約60~70%で行われています。

■臍帯血移植
赤ちゃんとお母さんを結ぶ臍帯と胎盤の中に含まれる臍帯血に造血幹細胞が存在しています。この肝細胞を移植に用いるのが臍帯血移植です。現在では、「日本さい帯血バンクネットワーク」の全国の各臍帯血バンクに、約26,000本の臍帯血が凍結保存されています。

臍帯血移植の最大の特徴は、幹細胞がすでに採取・保存されているため、移植が可能なHLAを有する臍帯血があれば、短期間で幹細胞を提供できることです。また、本来は破棄されていた臍帯血から幹細胞を採取するので、ドナーに対する負担がないことも大きなメリットです。